2022年7月30日

広島・長崎原爆投下77周年によせて

 世界がCOVID-19パンデミック(世界的大流行)による危機から徐々に脱しつつあるなか、2022年2月24日に始まり、未だウクライナで続く戦争は、2020年と2021年の他の危機をはるかに超える大きな人道的、経済的苦しみに世界を陥れました。この戦争は、戦闘地域における底知れぬ人的苦痛は言うまでもなく、食料、エネルギー供給、その他の生活必需品の深刻かつ広範な不足を引き起こしています。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシアはその存在自体が脅かされた場合、核兵器を使用するとさえ言いました。これに対し、北大西洋条約機構(NATO)は核兵器の重要性を強調しています。

 2022年6月13日に発表されたストックホルム国際平和研究所(SIPRI)年鑑2022によると、核武装している9カ国すべてが核兵器を増産または更新しており、これは冷戦終結後の世界的な核兵器削減の終わりを明確に示しています。2022年1月現在、ロシアは5,977発、米国は5,428発の核弾頭を保有しています。両国を合わせると、全世界で推定12,705発の核弾頭の約90%を保有することになります。米国科学者連盟のデータでは、2022年2月23日現在の保有数は、中国350発、フランス290発、イギリス225発、パキスタン165発、インド160発、イスラエル90発、北朝鮮20発となっています。この核弾頭の数は、実に恐るべきことです。

  核兵器が発明されて以来、戦争で目標に対して実際に使用された核弾頭は2つしかありません。1945年8月6日に広島に投下され、その3日後に、長崎にも投下された原子爆弾です。核兵器のいかなる使用も破滅的な人道的結果をもたらすことに注意を喚起し、そのような兵器を完全に禁止するための画期的な活動で2017年にノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)によると、2つの原爆によって1945年末までに広島で推定14万人、長崎で7万4,000人が死亡しました。1945年に生き延びた人々も、数年から数十年後に、核放射線による副作用で慢性疾患に罹ることとなりました。これらの被爆者は、白血病だけでなく、乳がん、肺がん、その他のがんに苦しむことになります。被爆した妊婦においては、高い流産率、ならびに乳幼児の高い死亡率が記録されました。また、被爆者の子供には知的障害、成長障害、がんの発生が多くみられました。たった2回の原爆投下でこれだけの甚大な被害が出るのなら、何十発、何百発の核弾頭があれば、世界は完全に廃墟と化し、人が住めなくなることは言うまでもありません。健全な精神の持ち主が、自分の家族や愛する人がいる場所に対して核兵器を使用する危険さえ冒すことができるでしょうか?

  長崎の浦上天主堂のマリア像は原爆の爆心地から500メートルの位置にあったため完全に破壊されました。Sata Foundationは、そのマリア像の頭をロゴに使用しています。それは、戦争に加わっていない人々に対してでさえも無差別に影響を与えてしまう大量破壊兵器そのものに対しての反対を表明したものです。このマリア像は、科学技術を適切に利用し、希少な資源を人類の向上のために割り当てることで、平和に暮らす世界になることを意味する人道主義のシンボルでもあります。私たちは、国籍、人種、宗教、民族を問わず、世界平和、相互の思いやり、そして人々の間の理解を訴えています。Sata Foundationといたしましては、私たちの資源の範囲内で可能な限り人道的・平和的使命を遂行しています。

  2022年7月30日(土)、Sata Foundationは、COVID-19の影響を受けた2020年を除いて2005年から毎年開催している「平和記念自転車レース」の第17回大会をフランス・ブルゴーニュ地方のシャイイで開催します。このレースは、ベルナール・イノーとフランチェスコ・モゼールが共同スポンサーとなり、コート・ドールのオーソワの道を走る3つのコースで構成され、数百人のサイクリストが参加します。このレースは広島・長崎の原爆犠牲者に哀悼の意を表し、人類に核兵器の危険性を警告するだけでなく、Sata Foundationの使命を遂行するための資金を調達、ならびに2011年に東北地方を襲った津波の被災者に対し、1件の登録につき2ユーロの寄付を目的としたものです。詳しくは平和記念自転車レースのウェブサイトをご参照下さい(https://sportsnconnect.lequipe.fr/calendrier-evenements/view/109/cyclosportive-courir-pour-la-paix)。

  私たちの世界をより良く、より思いやりのある場所にするために、Sata Foundationへのご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。



SATA Foundation
理事長 佐多 保彦


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