2023年7月14日

広島・長崎原爆投下78周年によせて

 今年のG7サミットは、核戦争の恐怖を強く訴えるため、広島で開催されました。 2023年5月20日に発表されたG7広島首脳コミュニケは、全ての者にとっての安全が損なわれない形で、現実的で実践的な、責任あるアプローチを採ることによる、核兵器のない世界を実現するとのコミットメントを表明しています。 このコミュニケは、より安定した、安全な世界を実現するための軍縮と不拡散への取り組みの重要性を改めて確認するものです。

 しかし、言葉は行動で示さなければなりません。2021年1月22日に発効した2017年核兵器禁止条約は、68の国と地域が批准しています。 ところが、核兵器を保有する国の中には、この条約を批准する締約国はありません。 また、世界で唯一の核攻撃を受けた国である日本も、この条約を批准していません。

 2023年6月12日に発表されたストックホルム国際平和研究所(SIPRI)年鑑2023によると2023年1月時点の核弾頭数は12,512発、 潜在的な使用のために軍事備蓄されている核弾頭数は9,576発で、これは2022年1月から86発増加していると推定されています。 このうち、推定3,844発の核弾頭がミサイルや航空機に配備され、約2,000発は、ほぼ全てがロシアか米国の保有するものですが、 ミサイルへの搭載や、核爆撃機が駐留する空軍基地での保管という形で、高度な警戒態勢下に置かれていると言います。 またSIPRIは、中国の核保有数が増加しているにもかかわらず、米国とロシアは世界の核兵器のほぼ90%を保有していると指摘しています。

 私たちの世界は依然として核戦争の危機に直面しています。ロシアとウクライナの戦争は、2022年2月24日から止むことなく続いており、 戦闘地域においては、計り知れないほどの人的被害がもたらされ、食料、エネルギー供給、その他の生活必需品の深刻な不足が世界全体に広がり続けています。 そして現在ロシアは、ベラルーシに戦術核兵器を配備しており、ロシアの領土や国家が脅威にさらされた際の使用を示唆しています。

 1945年8月6日に広島、その3日後に長崎に投下された原子爆弾の被害者が受けた、計り知れないほどの苦しみは、核兵器を保有する国々の核兵器の使用を、その目的にかかわらず、これまで抑止してきました。 核兵器に反対する世界的なキャンペーンの一環として、SATA Foundationのロゴは、原爆の爆心地から500メートルの位置にあったため完全に破壊された長崎の浦上天主堂のマリア像の頭を使用しています。 このマリア像は、科学技術を適切に利用し、希少な資源を人類の向上のために割り当てることで、平和に暮らす世界になることを意味する人道主義のシンボルです。 あらためて、私たちは、国籍、人種、宗教、民族を問わず、世界平和、相互の思いやり、そして人々の間の理解を訴えています。

 2023年7月29日(土)、SATA Foundationは、COVID-19の影響を受けた2020年を除いて2005年から毎年開催している「平和記念自転車レース」の第18回大会をフランス・ブルゴーニュ地方のシャイイ・シュル・アルマンソンで開催します。 このレースは、ベルナール・イノーとフランチェスコ・モゼールが共同スポンサーとなり、コート・ドールのオーソワの道を走る3つのコースで構成されます。 このレースは広島・長崎の原爆犠牲者に哀悼の意を表し、人類に核兵器の危険性を警告するとともに、ウクライナ戦争の罪なき犠牲者への支援を表明するためのものです。 また、SATA Foundationの使命を遂行するための資金を調達し、2011年に東北地方を襲った津波の被災者に対し、1件の登録につき2ユーロの寄付を目的としたものです。 詳しくは平和記念自転車レースのウェブサイトをご参照下さい。

 また、SATA Foundationの設立理念の中に記されている「文化、宗教、信条の垣根を越え、あらゆる民族が互いに理解しあい、平和を尊び、基本的人権を尊重する」ことを目的として、 2023年3月に設立されたSATA FoundationオックスフォードICJ奨学金は、毎年、国際司法裁判所(ICJ)から選ばれた英国オックスフォード大学出身の候補者に対して、 ほぼ1年間の同裁判所での勤務を目的として、オランダのハーグでの生活費を支援します。詳しくはこちらをご参照下さい。
https://www.law.ox.ac.uk/2023-2024-icj-judicial-fellows-programme
および
https://www.law.ox.ac.uk/sata-foundation-oxford-icj-fellowship-award)。


SATA Foundationへのご支援に、心から感謝いたします。



SATA Foundation
理事長 佐多 保彦


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