SATA Foundation 2010年度年次報告


I.寄付


2010年度、SATA Foundationは以下の寄付を実施しました。


(1)シェチェン診療所(ネパール カトマンズ・ボダナート)(http://karuna-shechen.org/

 これは診療所に対する継続的な資金援助の一環として行われたものです。  SATA Foundationは長年にわたり、ネパールの首都、カトマンズ近郊の人口密集地帯にあるシェチェン診療所への資金援助を行っています。診療所は患者の宗教、民族、政治的背景にかかわらず、難民や山岳民族を含む一大コミュニティに対し、質の高い医療を提供しており、医療サービスはコストスライド制で、経済状態の厳しい患者には、すべての医療行為および医薬品が無料で提供されます。診療所には月に3,500人を越す患者が受診します。診療所には、内科、薬局、分析ラボ、結核(D.O.T)クリニック、整形外科、産科、HIV感染者・AIDS患者とその家族のためのカウンセリング、ホメオパシー、チベット伝統医療、チベット伝統薬調合所、鍼療法、歯科、歯科ラボがあります。

(2)アジアにおける国際法整備(DILA)財団

 SATA Foundationは継続的にアジアにおける国際法整備を推進するため、アジアの若い国際法研究者による特にすぐれた国際法に関する論文に対し、2005年から毎年、佐多賞(2,000米ドル)を授与しています。受賞論文はアジアにおける国際法整備(DILA)財団の後援により、Asian Yearbook of International Law (「アジア国際法年鑑」:Martinus Nijihoff Publishersライデン/ボストン刊)に掲載されます。Asian Yearbookは世界平和と国際的法秩序を支える国際法に関するアジアの視点を世界に発信するものです。佐多賞はこのように、SATA Foundationの設立理念に謳われている「あらゆる文化、宗教、信条をもつ人々の間における平和の価値と普遍的人権の尊重に対する理解」を促進する一助となっています。

 2010年度は佐多賞受賞に該当する研究論文がなかったことがDILAよりSATA Foundationに対して通知されました。前回、佐多賞が授与されたのは2009年度で、イランのアミン・ガンバリー・アミルハンデフ氏の論文「非国家主体に対する自衛行為に関する弁明の検討」に贈られました。

(3)Association Coup d’Pouce

2010年8月、SATA Foundationは募金活動を行い、ブルゴーニュの小児がん患者をサポートするために2001年設立された慈善団体、Association Coup d'Pouceに対し寄付を行いました。
(所在地:8 rue du vieux chne, 21110 IZIER ; Tel. :03 25 87 08 13 ; E-mail :CoupPouce@wanadoo.fr; ホームページ:www.coup-d-pouce.fr)

(4)寄付Banyan Home Foundation:

HIV/AIDSに罹患した子どもたちのためのBan Rom Sai Children’s Homeを運営するBanyan Home Foundation(BHF:www.banromsai.jp.)は日本の名取美和さんによって設立されました。

 2007年および2008年、Sata FoundationはBHFに対し相当な額の寄付を行いました。

 2009年、BHFよりSATA Foundationに対し、医療費をまかなう新しい基金の設立プロジェクトの支援の依頼がありましたが、現在、Ban Rom SaiのHIV感染児童はOXFAMより無料の医薬品と健診の提供を無期限で受けているため、SATA FoundationはBHFに対し、現在、SATA Foundationの緊急かつ具体的な支援を必要とする別の提案を行うよう回答しました。その提案がSATA Foundationに示され、承認を受けたのが2010年3月であったため、BHFに対するSATA Foundationの寄付は2010年まで延期されました。 2010年4月13日、SATA FoundationはHIV感染児童が社会に同化するサポートを行うためBanyan Home Foundationに対し寄付を行いました。     2010年度の寄付金は、Ban Rom Saiの子供たちと、外部からの参加者との間の運動会、少年サッカー大会、卓球大会、ペタンク大会の費用に当てられました。各イベントにはBan Rom SaiのHIV感染児童及び、Ban Rom Sai近隣の村人と招待した審判を含め90から127名が参加しました。また、この寄付金は以下の費用にも充当されました:(a)Ban Rom Saiと近隣の村の子供たちに読書の楽しみを教える会、(b)2010年4月14-21日に実施されたBan Rom Saiサマーキャンプ、(c)Ban Rom Saiコミュニティ図書館の維持管理、(d)Ban Rom Sai少年サッカーチームプロジェクトの助成。こうした努力により、Ban Rom Saiの子供たちは、地域社会に受け入れられ、順調に溶け込んでいます。

添:感謝状

(5)認定特定公益信託 日本白血病研究基金

 2010年7月20日、SATA Foundationは認定特定公益信託 日本白血病研究基金に対し寄付を行いました。(所在地:日本白血病研究基金 〒105-0001東京都港区虎ノ門2-7-14、電話03-3593-3341、 E-mail luekaemia@flrf.gr.jp; http://www.FLRF.gr.jp/(日本語))

II 長崎のマリア像と世界平和

 2005年8月の長崎原爆60周年に長崎のマリア像が浦上天主堂に返還され、SATA Foundationのマリア像に関わる目的はほぼ達成されましたが、SATA Foundationは引き続き、長崎のマリア像を象徴とする世界平和キャンペーンを実施していきます。

 2005年8月6日、SATA Foundationは広島(1945年8月6日)・長崎(同8月9日)の原爆投下60周年に際し、Foundationの人道的使命を推進することを目的として、フランスにおいて「平和祈念サイクルロードレース」及び関連事業を主催しました。第1回の大きな成功を受けて、平和祈念サイクルロードレースはその後、毎年開催されています。

SATA Foundationは2010年8月1日、フランス・ブルゴーニュ地方シャイイにおいて第6回平和祈念サイクルロードレースを開催しました。ラリーにはベルナール・イノー氏をはじめおよそ500名のサイクリストが参加し(2007年度453名、2008年536名、2009年550名)、100名以上の観衆やサポーターが集まりました。このイベントの収益金は、全額がCoup d’Pouceに寄付されました(上記(3)参照)。

このイベントがきっかけとなり世界各国で平和を祈念する自転車競走が行われています。日本においては、2009年、第3回明治神宮外苑学生自転車クリテリウム大会が行われ、SATA Foundationは寄付を行いました。2009年に続き2010年も、SATA Foundationはこれが伝統として受け継がれますます盛んになることを願い、日本学生自転車協議連盟に対して、再度、寄付を行いました。

Kriangsak Kittichaisaree教授
専務理事
SATA Foundation
2011年3月25日

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