Sata Foundation 2021年度年次報告

I. 他の財団への支援

(1)アフガニスタンへの支援

2021年8月にアフガニスタン政府が崩壊し、タリバンが同国を占領した後、アフガニスタンは人道的危機を迎え、国際的な懸念が広がっています。他国政府や国際機関が提供する海外支援は、タリバンに科された制裁措置や、切実に必要としているアフガニスタンの人々に届くまでの輸送および配布の困難さにより、大きな支障をきたしています。
Sata Foundationは、英国に拠点を置きアフガニスタンで活動する小規模な慈善団体Aryana Aid(www.aryanaaid.org.uk)に寄贈しました。アフガニスタンにおけるコミュニティのニーズとアフガニスタンの人々の要望をもとに、この寄付金は3つのプロジェクトに使われました。

1. コミュニティ井戸プロジェクト:アフガニスタンの村全体にきれいな水を提供

2. 井戸プロジェクト:首都カブールの東側郊外にあるバグラミ地区の900人に24時間きれいな水を提供

3. 食糧パックの配布:国際的な食糧援助の到着を待つ間、アフガニスタンの貧しい3戸の家庭に1カ月間提供


(2)Human Rights at Sea(https://www.humanrightsatsea.org/

2020年12月、Sata Foundationは、海上で危険にさらされている人々、たとえば地中海を航行する安全性を欠いた船の上で深刻な危険にさらされている、アフリカの紛争国から逃れた難民などの保護に取り組む慈善団体、Human Rights at Seaに寄贈しました。
この寄付金は、2021年にHuman Rights at Seaが、地中海での人命救助のための欧州海上人道組織SOS Mediterranéeの活動を支援するために使用されました(https://www.sosmediterranee.org/)。


(3) その他の寄付の可能性

Sata Foundationは他の寄付の可能性についても継続的に検討しました。しかし、COVID-19パンデミック(世界的大流行)により連絡手段が限られておりました。また、すでに十分な資金を持つ慈善団体から寄付を要請されたケースもありました。


II. 長崎のマリア像と世界平和

2021年平和祈念自転車レース

2005年以来、Sata Foundationは、広島及び長崎の原爆投下日(1945年8月6日及び9日)を追悼し、フランスで開催される“平和祈念”自転車レースを後援しています。このレースは、核兵器の使用に起因する人的被害のみに焦点を絞ったものではありません。破壊兵器のために利用されてきた科学的知識が、人の健康や福祉のために確実に用いられる必要性について世の中の認識の向上を目的としたものです。
2021年7月31日土曜日、フランスのシャイイ・シュル・アルマンソンで平和記念自転車レースは開催され、約300名のサイクリストが参加し、Sata Foundationへの寄付も集まりました。



III. 世界平和と人権の支持

Sata FoundationのExecutive Directorは、『ロヒンギャ、正義と国際法』(ラウトレッジ、2021年11月1日、邦題は仮訳)という314ページに及ぶ書籍を出版しました。



本書は、国際法、ならびに二国間・多国間外交での現実的政治手法に関するものです。この中では、国際的に懸念される重大犯罪に相当する深刻な人権侵害の被害者自身による正義の追求が取り扱われており、非常に読み応えのある痛烈な内容となっています。また、本書では、ミャンマーに住む「ロヒンギャ」と呼ばれる民族・宗教グループの窮状が事例研究として考察されています。さらに、そこで起きているジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪に相当する行為に対して、国際裁判所や外国の国内刑事裁判所における複雑な法的技術や障害が詳しく解説されています。
2021年5月31日、オックスフォード移行期正義研究グループ、オックスフォード大学ボナヴェロ人権研究所、オックスフォード倫理・法・武力紛争研究所は、元米国戦争犯罪問題担当特命大使で元シエラレオネ特別法廷主任検察官であるスティーブン・ラップ氏とアジア正義連合のプリヤ・ピライアジア博士を討論者に、本書に関するオンライン討論会を共同で主催しました。オンラインライブ中継には約300名が参加し、その録画(https://www.youtube.com/watch?v=uX-WqXyUafI)は本日現在、700名以上が視聴しています。



2022年7月30日
クリアンサック・キッチャイサレー教授
Executive Director
Sata Foundation 




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