Sata Foundation 2015年度 年次報告

I.寄付

(1) シェチェン診療所(ネパール カトマンズ・ボダナート)(http://www.karuna-shechen.org

 ネパールの首都カトマンズ郊外の人口密集地帯にあるシェチェン診療所に対し、同診療所の人道的活動を支援するため、引き続き寄付を行いました。シェチェン診療所は、患者の宗教、民族、政治的背景にかかわらず、難民やインド、ネパール、チベットの山岳民族を含む一大コミュニティに向けて、質の高い医療を提供しています。医療サービスはコストスライド制で、特に経済的に困窮している患者には、すべての医療行為および医薬品が無償で提供されます。診療所を受診する患者数は月に3,500人を超えています。診療所には、内科、薬局、分析ラボ、結核(D.O.T.)クリニック、整形外科、産科、HIV感染者・AIDS患者とその家族のためのカウンセリング、ホメオパシー、チベット伝統医療、チベット伝統薬調合所、鍼療法、歯科、歯科ラボの各科・設備があります。

 シェチェン診療所は、2000年の開設以来の継続した支援について、日本のSata FoundationとTKBグループに対し、謝意を表しました。


(2) シェチェン僧院(ネパール カトマンズ)(http://www.shechen.org

 ネパールの首都にあるシェチェン僧院は、国の全人口の3分の1に被害を与えた2015年4月25日及び5月12日のネパール大地震によって、甚大な損傷を受けました。2015年6月、SATA Foundationは、前述のシェチェン診療所への寄付に加えて、地震のお見舞いとして同僧院に対する寄付も行いました。地震の被災者にとって重要な避難所になった僧院にとり、SATA Foundationによる寄付は、精神的・物質的な災害救助活動の支えとなっています。


(3) バンヤンホームファウンデーション

 日本人の名取美和さんによって設立された、HIVに感染/AIDSを発症した子どもたちのためのバーン・ロム・サイ子供の家(Ban Rom Sai Children’s Home)を運営するバンヤンホームファウンデーション(BHF)[注1]に対し、2015年度も引き続き、以下のプロジェクトの支援として寄付を行いました。(a)子供たちに読書の楽しみを教えること、(b)コミュニティスポーツ、(c)青少年フットボール大会、(d)バーン・ロム・サイの子供たちと地元の子供たちのためのサマーキャンプ、(e)事故の際や応急手当に関する実践トレーニングの各プロジェクトです。
 約50-100名がこれらの活動に参加しました。2007年から続くSATA Foundationの寄付により、バーン・ロム・サイの子供たちは暮らしている地域社会に順調に受け入れられ、理解されています。例を挙げると、無料で高校及び職業訓練校で学べる特別枠に数名が認められました。


(4) 視覚障がい者のためのマタ・ラチュミー園(http://www.nabindia.org/nursery/

 インド・ムンバイのシオンにある視覚障がいのある子供たちのための学校、マタ・ラチュミー園に寄付を行いました。インドには同園と同等の施設が複数あります。園は2歳児からのごく幼い子供たちを受け入れ、10歳になるまで養育・教育を行います。約20名の園児たちの中には、複数の障がいを抱える子供たちも含まれます。園から出た子供たちは、視覚障がいのある子どもたちのための学校に進学します。園の運営は善意の寄付に全面的に頼っており、資金は子どもたちの教育だけでなく、質の高い教師を確保し、遠足やピクニックなど、レクリエーションの機会を含むさまざまな経験によって子どもたちの生活を豊かにするために支出されています。


(5) アジアにおける国際法整備(DILA)財団

  Sata Foundationはアジアにおける国際法整備を継続的に推進するため、アジアの若い国際法研究者による特にすぐれた国際法に関する論文に対し、2005年から毎年、現在は「DILA賞」と改称した佐多賞(2000米ドル相当)を授与しています。受賞論文はアジアにおける国際法整備(DILA)財団[注2]の後援により、Asian Yearbook of International Law (「アジア国際法年鑑」)に掲載されます。アジア国際法年鑑は、世界平和と国際的法秩序を支える国際法に関して、アジアの視点を世界に発信するものです。DILA賞は、Sata Foundationの設立理念に謳われている「あらゆる文化、宗教、信条をもつ人々の間における平和の価値と普遍的人権の尊重に対する理解」を促進する一助となっています。

アジア国際法年鑑2012年号のDILA賞は2015年に授与されました。受賞論文はシンガポール国立大学のジャクリン・ネオ教授による「人権を法に包含することについて:マレーシア法廷における二元論の緩和と解釈」です。



II. 長崎のマリア像と世界平和

 Sata Foundation は引き続き、長崎のマリア像を象徴とする世界平和に向けたキャンペーンを実施していきます。2005年以来、SATA Foundationは広島(1945年8月6日)・長崎(同8月9日)の原爆投下を記念するため、さらにSATA Foundationの人道的ミッションを推進することを目的として、フランスで「平和祈念自転車競走」及び関連イベントを開催しています。

 2015年度は、同年8月1日(土)にフランスのシャイイ-スル-アルマンソン(www.courirpourlapaix.com)において、551名のサイクリストを迎えて第11回平和祈念自転車競走を開催しました。サーキットはヒロシマ(145km)、ナガサキ(105km)、トーホク(80km)で、参加者のうち512名が完走しました。このイベントにより、SATA Foundationのミッションを遂行する資金として、募金が行われました。今年の平和祈念自転車競走は2016年7月30日(土)に開催されました。


注釈
1. バンヤンホームファウンデーションは、23/1 Moo 4 Tambon Namprae, Ampur Hangdong, Chiangmai Province, Thailand 50230 に所在している(http://www.banromsai.org)。
2. http://www.dilafoundation.org


2016年8月9日

SATA Foundation
専務理事
Kriangsak Kittichaisaree 教授


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